スマートシティ 関連コラム

2012年7月23日

スマートシティのサービス市場、1000兆円規模に
モビリティーや医療分野が拡大

筆者:菊池 珠夫=日経BPクリーンテック研究所
出典:日本経済新聞電子版「クリーンテック最前線」 7月4日
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)

 全世界で進行する環境配慮型都市「スマートシティ」のプロジェクトによって、新たなサービスが生まれつつある。例えばスマートメーターやスマートグリッドの整備が進むと、供給側から需要調整をうながすデマンドレスポンス・サービスや、リアルタイムの節電アドバイスといったサービスが生まれる。電気自動車(EV)が普及すれば、充電サービスや、搭載電池の再利用といったサービスも盛り上がりを見せるに違いない。

 こうしたスマートシティのハードウエアの上で展開される新サービスの世界市場はいったいどのくらいの規模になるのか――。日経BPクリーンテック研究所がこのほど市場規模を算定したところ、2030年までの累積で約1000兆円に達することが分かった(図1)。

 これは『世界スマートシティ総覧 事業・サービス編』の発行に当たってまとめたデータで、現時点で先行的に始まっているものや、実現に向けた方向性が見えているサービスについて今後の展開を推定し、積み上げたものである。日経BPクリーンテック研究所は2011年10月13日に、世界スマートシティのハードウエアの市場規模が2030年までの累計で約4000兆円になると発表した。今回のサービス市場は、前述のようにその上で展開されるものだが、太陽光発電システムやBEMS(ビル・エネルギー・マネジメント・システム)の保守・運用など、ハードウエアに直結したサービスは含めずに算定した。

スマートシティ関連サービスの世界市場の累計額の推移 (出所:日経BPクリーンテック研究所)

最大市場はエネルギー分野

スマートシティ関連サービスの世界市場を2030年まで累計した額の分野別構成比 (出所:日経BPクリーンテック研究所)

 今回の『世界スマートシティ総覧 事業・サービス編』では、スマートシティによって生まれる新しいサービスをまず8つに分類し(大分類)、それぞれを36項目に細分化して分析・予測することで市場規模を算定した。8つの大分類とは、(1)行政サービス、(2)ホームネットワーク、(3)医療・健康、(4)生態系サービス、(5)スマートビレッジ、(6)マーケティング、(7)モビリティ、(8)エネルギーである。本記事のグラフでは、このうち規模の大きな行政サービス、ホームネットワーク、医療・健康、モビリティー、エネルギーの5つの分野の数字を示し、残りをその他としてまとめた。

 ただし、 生物多様性の確保や、屋上緑化といった生態系サービスの分野は、都市づくりの一環としてハードウエアに近い形で投資されるため、今回の「スマートシティが生み出す新サービスの市場規模」においては算定に含めていない。

 サービス市場1000兆円の内訳を見ると、やはりエネルギー分野が全体の28%の約280兆円で最も多い(図2)。スマートシティの主たる目的は二酸化炭素(CO2)排出量の削減にあるので、エネルギーに関するサービスメニューが多くなるのは必然といえる。例えば前述のデマンドレスポンスや、省エネのコンサルティングといった、エネルギー消費をいかに削減するかというサービスを中心に今後、広がりを見せていく。エネルギーは生活に不可欠な基盤であり、家庭や企業など顧客の幅が広いことも市場のポテンシャルをさらに拡大しそうだ。

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