スマートシティ 関連コラム

2012年8月30日

【クラウドが支えるスマートシティ】都市マネジメントのための3ステップ

宇都 正哲、木村 淳、高橋 睦/野村総合研究所
出典:ITpro Magazine 2010年秋号 pp.12-21
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)

生活品質高めるサービスの創出を

 第3ステップは、付加価値化したログを活用した「新サービスの創出」だ。地域や個人にカスタマイズされたサービスの提供や新たなビジネスの創出が期待される。

 これらのサービスは主に個人に向けたものになるだけに、利用者ニーズを汲み取りながら、QOL(Quality of Life:生活品質)を高められる商品を開発していくことになる。そのため、第3ステップでは、マーケティングや実証実験などを繰り返す。情報を加工して付加価値を与えつつ、それをサービス化していくためには試行錯誤が必要だからだ。

 QOLを支えるITの例としては、単身世帯向けの遠隔診断や、地域医療、高齢者見守りなどの仕組みが挙げられる。いずれも先進国での取り組みが進んでいる。日本では総務省や経済産業省による補助事業の一環で、一部の自治体が先行的に取り組み始めている。

 先例として、個人の行動記録や購買記録といったライフログを活用する環境家計簿「えこ花」と、タクシー車両が持つプローブ情報を活用する「全力案内!」を紹介する。

 えこ花は、総務省ユビキタス特区事業によりビジネスオンライン(以下、BOL)が提供するサービスだ(図3)。日常生活がどの程度の環境負荷を与えているのかを“見える化”することから、環境家計簿と呼ばれている。

図3●ビジネスオンラインが提供する環境家計簿「えこ花」の仕組みと位置付け

 利用者は家計簿を作成するだけで、家庭の消費・購買活動にかかるCO2排出量が自動的に計算される。BOLがあらかじめ登録しているスーパーや銀行などであれば、商店での購買情報や預金・クレジットカードの取引明細が家計簿に自動的に取り込まれる。利用者の居住地域ごとに、電気・ガス・水道にかかるCO2排出量をより正確に計算することも可能だ。

 ライフログを収集・加工するえこ花は、利用者に対しては家計およびCO2排出量の見える化を図っている。そして収集されたデータは、事業者向けのマーケティングデータや、自治体・行政向けの統計データとしても活用できる仕組みになっている。

 一方の「全力案内!」は、ユビークリンクが提供する携帯ナビゲーションサービスである(図4)。平日・休日を問わず24時間運行しているタクシーの情報を利用して短時間に大量データを収集し、それをリアルタイム処理することで提供する情報の精度を高めている。

図4●プローブ技術を取り入れたユビークリンクの交通情報

 プローブ技術は、車両の位置情報などを取得する仕組みだ。一般的なカーナビが利用している路上センサーによる「VICS(道路交通情報通信システム)」では得られない道路状況を得ることで、渋滞情報や災害情報等の早期把握・提供への活用が期待できる。「全力案内!」は個人向けサービスだが、エリアマーケティング用途などに収集したプローブ情報の外販なども始まっている。

一覧へ戻る

メディアパートナー

  • FT
  • Bloomberg Businessweek
  • 人民網
  • 能源網
  • 環球雑誌社(新華社)
  • 瞭望周刊社(新華社)
  • サイゴンタイムズ

Platinumスポンサー

Goldスポンサー

Silverスポンサー

Bronzeスポンサー