スマートシティ 関連コラム

2012年9月6日

【クラウドが支えるスマートシティ】力覚/触覚情報を遠隔地でやり取り

大西 公平(慶應義塾大学教授)/下野 誠通(横浜国立大学助教)/名取 賢二(青山学院大学助教)
出典:出典:ITpro Magazine 2010年秋号  pp.12-21
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)

都市に“スマートさ”が求められるのは、個々人が自らの特性を際立たせる”個性化”が進展しているからだ。ITを使って個性を表現するには、これまでの「視覚」「聴覚」に加え、「力覚」「触覚」などの再現が不可欠である。個性を表現できる科学技術の重要性が高まっていく。

 資本主義の基本は、乱暴な表現ではあるが、需給のバランスを“神の見えざる手”に委ねるところにある。情報システムが先進国から始まったのも、そこに需要があったからだ。それは都市の発展と不可分ではない。

“個性化”がスマートさを求める

 都市には「スマートに生きたい」という人々の要求があふれている。その要求が、情報の需要を生む。では、なぜスマートに生きたいのか、あるいは、なぜスマートに生きるためには大量の情報が必要になるのか。まずは、この点を解明しなければならない。

 筆者らは、その解は“個性化の進展”だと考える。個人を際立たせ自分の生き方を特徴付けることこそが、自分が生きている証になる。これがスマートな生き方につながっていると思われる。我々が考えるべきところは、その先である。

 現在の情報活用のあり方は、突き詰めれば、符号による連帯にほかならない。同郷、同窓、同族といった共同体によらない連環である。人は、そうした新たな連環に耐えられるだろうか?最近の社会で起こっているさまざまな事件は、決して新たな連環が究極の姿であるとは暗示していない。スマートな生き方のモデルにおいて何が欠けているのだろうか。

 その問いについて、胸に手を当てて考えてみれば、「温もりのある人間との付き合い」だと合点する。現在のIT業界を席巻するマイクロソフトやインテル、シスコ、グーグルといった米国企業にない、新しいテクノロジーがここにあるのではないだろうか?

 この点に注目し、筆者のうちの一人が属する大学では新しい研究対象を立ち上げた。研究対象を「アクセス空間」と呼んでいる。個人の活動に合わせて物理的な支援を提供できるデジタル空間の実現を目指している。

 アクセス空間において個人に適した支援を実現するためには、各個人の個性や身体的特徴に基づき、人間が持つ機能を延伸・増幅する新しい科学技術が必要になる。このような科学技術を「マイテクノロジー」と呼ぶこととする。個人のための個人に合わせてあつらえた科学技術という意味だ。

 今日のグローバル情報化社会において、個性は埋没してしまう可能性がある。しかし、マイテクノロジーが今後発展すれば、社会活動あるいは個人の活動における新しい価値の創出が期待できる。個人の行為を通してより明確に個性を発揮しながら活動したり、個人の個性そのものがより一層重要な価値を持ったものとして認知されたりするだろう。

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