スマートシティ 関連コラム

2012年9月6日

【クラウドが支えるスマートシティ】力覚/触覚情報を遠隔地でやり取り

大西 公平(慶應義塾大学教授)/下野 誠通(横浜国立大学助教)/名取 賢二(青山学院大学助教)
出典:出典:ITpro Magazine 2010年秋号  pp.12-21
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)

リモコンは間接的な支援でしかない

 遠隔操作の身近な例には、テレビやエアコンのリモコン操作などがある。自分自身とテレビやエアコンとの物理的な距離という制約をテクノロジーによって解決しているのである。ただし、身体性の拡張・延伸という意味では、人間の移動という労力を赤外線で代用したに過ぎない。

 研究開発しなければならないのは、遠隔操作において身体性を本当の意味で拡張したり延伸したりできるテクノロジーである。そうした研究領域の一つが「テレハプティクス(遠距離間におけるハプティクス)」である。

 テレハプティクスは、計算機技術により実現されたハプティクス情報を情報通信により遠隔地間でやり取りする仕組みだ。まさにITの粋を結集した技術であるといえる。実際には、遠隔地間の情報通信において生じる通信遅延に起因する問題点もある。だが、これも最新技術によって解決が試みられている。

 テレハプティクスの特長として重要なことは、身体性を空間的のみならず時間的にも拡張・延伸できることである(図2)。したがって、より自由度の高い身体性の拡張および延伸が可能であり、さまざまな分野での応用が期待される。

図2●テレハプティクスでは、身体性を空間的だけでなく時間的にも拡張・延伸できる

 上述したアクセス空間という響きは「アクセス網」を想起させる。アクセス網はクラウド性の高いネットワークの一部として考えられる。アクセス空間は、アクセス網に“身体性”を付け加えるものである。アクセス網における感覚チャネルが人間の五感のうち視覚と聴覚であるのに対し、アクセス空間ではさらに力覚と触覚が加わる。

 ハプティクス/テレハプティクスの研究が盛んになっている。鮮明な触覚情報をリアルタイムに伝送したり、デジタル記録や工学的再現に成功したりする事例が、少しずつ報告され始めている。実用化に向けた萌芽が見られ始めたところだ。

 例えば、力覚情報や触覚情報を扱える「ハプティックロボット」を世界中に配置すれば、人は瞬時にロボットの置いてある所にアクセスでき、あたかもその場に行ったかのように、代理行動が取れるようになる。こうした身体性の獲得が、スマートな生き方を立体的にしてくれるはずだ。

大西 公平
慶應義塾大学 理工学部システムデザイン工学科 教授

下野 誠通
横浜国立大学 工学部電子情報工学科 助教

名取 賢二
青山学院大学 理工学部電気電子工学科 助教

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