スマートシティ 関連コラム

2012年9月11日

【そもそもから考えるエネルギー論】
シェールガスに期待し過ぎてはいけない

大場 紀章
出典:日経ビジネスオンライン 2012年3月26日
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)

 エネルギーの話題は、読者の関心のポイントや好き嫌いが実に様々で、議論のターゲットを絞るのが大変難しいです。本来は、短期の課題と長期の課題を分けて議論するべきです。しかし、例えば原発再稼働の問題をとっても、今年の再稼働の有無の判断が長期にも影響を与えると思われるため、容認派・反対派の両者にとって死活的問題となり得て、長期・短期を簡単に切り分けることができません。このように、直近のことを決めるにも、長期の話をせざるを得ません。しかし、長期の議論が直近の事情に引きずられてしまい、本来の長期的な背景の部分がごっそり抜け落ちていることが、私の基本的な問題意識です。

 今回は、最近少なからず目にすることのある、シェールガス(頁岩=シェールの中に残留した天然ガス)について取り上げたいと思います。

 「シェールガスのお陰で米国ではガスがとても安く、それを日本に輸入できればいいのではないか」といった話題に何となく期待している方、またはその構想に一抹の不安を抱いている方に向けて、私の見方を紹介します。シェールガスのことを全く聞いたことがない方は、大変申し訳ないですが日経ビジネスオンラインに優れた関連記事が多数ありますので、そちらを参考にしてください。

 シェールガスをテーマにするといっても、採掘時の環境問題や開発企業の経営上の問題、将来的な生産量、中国やポーランドなど米国以外での生産の広がりなど議論しなければならないことは山ほどあり、そこにご興味を持つ方もいらっしゃると思います。しかし、今回はすべてをすっ飛ばして、米国のシェールガスを日本が輸入するとことの意味に的を絞ります。

日本の7分の1、米国の天然ガスの安さは魅力

 現在、日本が輸入している天然ガス(LNG:液化天然ガス)の価格と、米国内での天然ガス価格ではおよそ7倍の開きがあります(図1)。であれば、米国からその安いガスを輸入できれば、原発が止まってLNG購入価格の高騰にあえぐ日本にとっての救世主になるのではないか、と淡い期待を抱きたくもなりますが、事態はそう単純ではありません。

図1:2004年からの天然ガス価格の推移
日本エネルギー経済研究所、国際通貨基金、米エネルギー省エネルギー情報局の統計より

 現在、米国政府に認可されているLNG輸出プロジェクトは8つあり、計画輸出量の総量は年間約1億トンと、米国のガス消費量の2割に匹敵します。そのうち、非FTA締約国に対する輸出認可が下りているのは今のところ1件(Sabine Pass)のみです(図2)。Sabine Passのプロジェクトは、英国、スペイン、インド、韓国(3月にFTA発効)などの国々に向け年間1600万トンが販売されることが決まっています。

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