スマートシティ 関連コラム

2012年10月04日

【決め手は位置情報】[作る]農業を“面”から“線”へ

河合 基伸、高橋 史忠=日経エレクトロニクス、Phil Keys=シリコンバレー支局
出典:日経エレクトロニクス 2011年3月7日号
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)

 農業や土木など物を作る分野では、作業品質を高めながら効率よく作業するために位置情報の利用が広がり始めている。将来は無人システムなどを導入することで、さらに作業の効率化を可能にする。

 近年、農業分野では生産効率を高めるために、農地の大規模化が進んでいる。しかし、1辺が数百mと広大な農地を農機で真っすぐ進むのは、容易ではない。そこで、走行方向のガイダンス・システムの導入が盛んになっている。ハンドルをどれくらい右や左に切ればいいのかを、点灯するライトの数と方向で表示するものだ(図1)。この表示に合わせて、運転手がハンドルを操作する。「米国では既に半数近くの農家が使っており、日本では北海道で導入が始まったところ」(北海道大学 大学院農学研究科 教授の野口伸氏)である。

 

図1 走行方向をガイダンス
トプコンの農業用ガイダンス・システム「System110」は、農機にGPS受信機と本体を取り付けて使う。走行方向のガイダンスの他、走行軌跡を表示することができる。

 さらに、ガイダンス・システムと農機を連動させた、自動でハンドルを切る農機の導入も始まっている(ただし、旋回時は人が操作する必要がある)。「こちらは米国では20%の農家に普及している」(野口氏)。

 こうしたシステムの利点は、どこを耕したかといった情報を正確に把握できる点にある。従来は農地の全面にわたって作業する必要があったが、これを利用することで、10cm程度の幅を持つ“線”の作業に置き換えることが可能になる。農業が面から線へと大きく変化するのだ。

 この効果は既に表れている。例えば、オーストラリアのビクトリア州では、作物に合わせてピンポイントで肥料をまくことなどで、収穫量が10%増えたという。肥料などに必要なコストは15%減ったため、収入は44%増えたとしている。

 そして次の段階は、無人で作業するシステムの開発である。北海道大学の野口氏は、2010年11月に北海道士別市で無人農作業システムのデモンスレーションを実施した(図2)注2)。2台のトラクターが農機具庫から農地までの約400mを走行。そのうち1台は長辺300mの農地を1往復し、さらに農機具庫に戻った。農機具庫に戻る途中では、道路上の人を感知して自動で停止し、再スタートする様子も見せた。農機具の移動速度は、人が操作する場合と同様の2.5m/s以下である。

注2) 士別市などの最新の農地は、無人作業システムに適した構造になっている。広大な上に、給排水用施設を埋設しているために農機が溝にはまる心配がない。

図2 無人で農作業
北海道大学は、無人農作業システムを開発している。士別市でのデモンストレーションでは、農機具庫から農道を通って農地に入り、長辺の300mを1往復してから再び農機具庫に戻る様子を披露した。

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