スマートシティ 関連コラム

2012年10月04日

【決め手は位置情報】[作る]農業を“面”から“線”へ

河合 基伸、高橋 史忠=日経エレクトロニクス、Phil Keys=シリコンバレー支局
出典:日経エレクトロニクス 2011年3月7日号
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)

 野口氏が開発したシステムでは、GPS信号と基準点からの補正情報を利用するRTK-GPSと呼ぶ測位技術を使って、誤差を2cmほどに抑えている。ただし、補正情報の受信に携帯電話網を使うネットワークRTK-GPSなので、人里離れた場所では使えない上に、通信費が発生する。さらに北海道の場合、1日のうち1~2時間ほどはGPSの受信状態が悪くなって作業ができない時間帯があるという。このため、補正情報を直接配信できて、日本の天頂付近を通る準天頂衛星「みちびき」への期待が高い。

レンタル店でも取り扱い

 土木分野では、「かなり前からGPSを利用しているが、5年ほど前からはブルドーザーなどの重機でも使うようになった」(東亜建設工業 土木事業本部 機電部 担当部長の増田稔氏)。ブルドーザーのブレードの高さを制御して、設計図通りの品質の良い施工を、効率よく実施するためである(図3)。位置や水平の基準となる、くいや糸を設置する手間を省くことができる。

図3 高さを決める
東亜建設工業は、ブルドーザーのブレードの高さなどをGPSを利用して決めるといった情報化施工を活用している。高品質の工事が、効率的にできるようになるとする。

 東亜建設工業では、工事に求められる精度に合わせて、誤差がcmオーダーのRTK-GPSを使ったり、数mオーダーのディファレンシャルGPSなどの複数の手法を使い分けている。以前は、機器が高価なために、こうした手法は大規模な工事現場でしか使えなかった。

 しかし、最近では、小規模の工事現場にも適用できるようになってきたという。その理由として、GPSの受信に必要な機器を産業機器のレンタル店が扱うようになった点や、「情報化施工」として入札時に優遇措置がある場合が増えてきた点を挙げる。この他に、ロシアの測位衛星「GLONASS」の信号が受信できるようになったことで、これまで条件が悪くて測位できなかった工事現場でも安定して使えるようになったことも大きい。

 東亜建設工業の増田氏は、「位置情報を屋外の工事だけでなく、屋内でも利用できるようになるといい」と話す。建物の建設時に屋内でも位置情報を利用して、建設資材の管理や作業者の管理などに使えるからだ。それが実現すれば、例えば建設時に位置情報の発信器を建設会社が利用し、竣工後は建物のオーナーが利用するといったことが可能になるかもしれない。こうなれば、屋内測位用の機器の費用を誰が負担するかという課題に対して、建設会社と建物のオーナーが費用を折半できる。

 土木分野でも、農業分野と同じ理由でみちびきへの期待が高い。2011年2月9日に実施した土木分野の実験では、「LEX」と呼ぶ測位補正用の新しい信号を使った場合に、既存のRTK-GPSとほぼ遜色のない精度が得られたという。

 ただし、土木分野での作業の自動化は、農業分野に比べると難しそうだ。最大の課題は、農業のように同じ場所で作業するのではなく、作業現場が工事ごとに異なることである。そのため、異なる現場に対しても、簡単な準備で自動化作業を可能にする手法が必要になる。

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