スマートシティ 関連コラム

2012年10月9日

【そもそもから考えるエネルギー論】
止まらない燃料調達コストの高騰

大場 紀章
出典:日経ビジネスオンライン 2012年5月28日
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)

 石炭火力をみると、例えば東京電力の石炭火力の割合はわずか11%に過ぎません(2008年度発電電力量構成比)。また、石炭火力は元々ベース電源として使われていたので、稼働率の上げ幅はどうしても小さくなります。東京電力の主力の石炭火力発電所である広野火力は、ボイラーの仕様でオーストラリアのハンターバレー地区で産出される通称「銀シャリ」と呼ばれる超高級石炭しか燃やすことができず、万が一のトラブルを避けるために他の石炭に替えることができないでいます。このように、石炭火力といっても、どこの石炭でもよいというわけではなく、石炭の性状とボイラーの仕様の対応が必要で、単純に増やせるものではありません。

原発停止で足元を見られLNG価格を下げられない

 そこで、やはりLNG(液化天然ガス)火力を増やさざるを得ないということになります。現在、確かに日本は世界で最も高いLNGを購入しており、驚くべきことにその価格は熱量単価で石油価格に匹敵します(前回の記事の図1参照)。

 貯蔵や輸送の不便さなどを考慮すると、天然ガス火力は単位熱量あたりの価格が石油より安くて初めてそのメリットを活かせるわけですが、これ以上の上昇はLNG火力の存在意義に関わってきます。そして、それだけの高いLNGを購入しても電力会社の経営が成り立つかどうかが、融資する金融機関にとっての関心事であり、ほかにも努力の余地はあるかと思いますが、基本的には電力価格をどれだけ上げられるのかがカギとなってきます。

 米国に安いシェールガスがあり、韓国やインドがそれを買い付けている一方で、日本が高いLNGを買っているのは、総括原価方式で損をせず、原発を再稼働したい電力会社が努力を怠っているからだという批判があります。しかし、私はこの指摘はあまり当たっていないと思います。日本を中心とした東アジアのLNG価格が突出して高くなっているのは、LNGを原油価格にリンクさせるという元々日本が決めた価格スキームの契約を変えられていないことが第一にあり、原発事故の前からそのことは問題視され官民一丸となってカタールなどの産ガス国(米国も含む)に対し交渉に当たっていました。

 しかし、今後数年で大口のLNG長期契約が相次いで終了する(東京電力の例を図1に示す)ため、その時点で既に足元を見られており、なかなか日本に有利な契約を結べないでいました。原発事故後は、むしろ原発というオプションを失ったからこそ、さらに足元を見られざるを得ない状況になり、より高い値段でスポット購入しているとも言えると思います。長期契約がベースとなるLNGは、相対の交渉という点で石油よりも遥かに政治的なエネルギー源であり、まさに日本が以前にも増して不得意としている交渉力が重要となります。

図1:東京電力のLNG調達先(2009年度)

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