スマートシティ 関連コラム

2012年10月18日

【決め手は位置情報】
[守る]防災意識の高まりで需要が拡大

河合 基伸、高橋 史忠=日経エレクトロニクス、Phil Keys=シリコンバレー支局
出典:日経エレクトロニクス 2011年3月7日号
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)

 従来、地盤の監視に使っていた測定装置には制限が多かった。例えば、ワイヤを使った伸縮計である。地面の2地点にそれぞれくいを打ち、その間を滑車が付いたワイヤでつなぐ。地面が動けばワイヤも動き、滑車が回る。その回転量で地面の変位を測る。精密に測定できるが、2点を結んだ直線方向の変位しか測れず、1台数十万円と高価という制約があった。水平/高さ方向の3次元計測が可能なGPS測位を使えば、この課題を解決できる。GPS測定器が安価に使えるようになり、可能性が一段と広がった。

 福岡氏のグループが今取り組んでいる研究は、レーザ・スキャナーを使った斜面の3次元計測だ。自動車の上にレーザ・スキャナーを設置し、高速道路などを走行しながら道路脇の斜面をスキャンする。自動車の走行軌跡をGPSで精密測位しておけば、斜面の変位を時系列で監視できる。「この2年ほどでmm単位の3次元計測が可能なレーザ・スキャナーが登場した。それを使えば、道路清掃車のように夜間走行しながら、崖崩れの予兆を調べられる」(同氏)とみている。

水質汚染や洪水の監視も

 位置情報を使った防災や環境調査への関心は世界的にも高い。米IBM Corp.はアイルランド政府と共同で、西部にあるガルウェイ湾の環境調査「SmartBay」を進めている。湾内に設置したブイなどにGPS受信機を組み込み、波の状態や水質汚染などの観測結果を位置情報と共に報告する。「湾に流れ込む川の水量を監視すれば、洪水の警告などに役立つ」(同社、IBM Research、Distinguished EngineerのHarry Kolar氏)。

 IBM社は、スマートフォンを使ったユーザー参加型の監視プロジェクト「Creek Watch」も手掛ける。iPhone向けのアプリケーション・ソフトウエアを配布し、生活者が撮影した川の写真を、撮影位置や時刻の情報と一緒に送信してもらう。同社は、この結果をまとめた水量やゴミの量などのデータベースを政府機関に公開中だ。

 今後、スマートフォンなどの普及によってGPS関連部品やサービス提供のコスト低下に拍車がかかれば、こうした取り組みは世界規模で増加しそうだ。斜面監視を手掛ける国際航業の岩崎氏は、「いずれ一般家庭向けにもGPSを使った防災サービスを提供できるのでは」と、ビジネス拡大に期待を寄せている。

一覧へ戻る

メディアパートナー

  • FT
  • Bloomberg Businessweek
  • 人民網
  • 能源網
  • 環球雑誌社(新華社)
  • 瞭望周刊社(新華社)
  • サイゴンタイムズ

Platinumスポンサー

Goldスポンサー

Silverスポンサー

Bronzeスポンサー