ゲーム業界の海外ビジネス虎の穴

第2回 TGSの会期中に、たくさんの商談をこなすための秘訣とは!?

東京ゲームショウ2015において、効果的な商談を設定する方法や商談の時間配分から、トラブルシューティングまで、いろいろなシチュエーションについて解説します。

TGS2015での効果的な商談設定方法
TGS2015の商談機会は一般公開日もありますが、基本的にビジネスデイの2日間が核となります。ビジネスデイに会うべき相手、一般公開日に会う相手をあらかじめ決めておく必要があります。
特に大手のパブリッシャーやプラットフォーマーは、ビジネスデイしか商談のチャンスはないと考えてください。たった1日しか商談をしない大手も少なくありません。ただ、TGS会期前に商談する企業も多いので、ビジネスデイ2日間に商談のアポが成立しなかった場合、その直前の日程で打診することも考えてみてはいかがでしょうか。
大手のゲーム会社との商談はビジネスデイ、中小のゲーム会社との商談は一般公開日に行うという考え方は決して間違っていません。大手ゲーム会社の担当者は、世界中の企業から商談依頼を受けることが多いので、マッチングが成立する企業を厳選する傾向があります。結果、自社との商談アポが成立しないことがあり得ます。その場合、TGS関連のパーティなどで積極的に名刺交換し、TGS会期終了後にフォローアップするという対応も頭に入れておきましょう。
TGS期間内に数多くの企業と商談するために、少なくとも2チームで別々に商談を設定していくもの効果的です。商談の設定は2~3週間前からが勝負です。これからでもあきらめずに商談成立に向けて、アプローチを強化してください。
商談準備で重要なのは、自社の「売り」
商談前に準備しておくことで重要なのが、「自社の売りは何にするか」と「実ビジネスとして何をしたいか」という2点にあると思います。何でもできますというセールスポイントや、自社の強みがぼやけたままだと、どんな商談メールを書いても、相手に伝わりません。また、そういう状態のまま、いざ商談に臨んでも、説明不足、消化不足のまま時間が過ぎ、その結果有効なビジネスに繋がらないケースが発生します。
そこで、TGS2015では、何を訴求するか十分に考えた上で、事前に用意する資料の量を減らす代わりに、内容をブラッシュアップすることが、質の高い商談につながります。もし、訴求するポイントが複数あったとしても、余計な情報をそぎ落とすなどして、簡潔な資料作りに専念しましょう。
商談での時間配分について
TGS2015のビジネスデイでは、移動も含めて30分間が一つの目安となります。ブース間の移動などに5分間程度が必要とするならば、実質15~20分間の商談時間しかありません。そういう時間制限の中で、ディールを締結、完結させるのは不可能です。だからこそ、商談自体はテキパキと時間管理をして、最低限ここまでは商談を進めておきたい、という段取りを決めておきましょう。
特に最初の商談には、以下のポイントが必要です。
  • ①会社説明を2~3分間にまとめておく。
  • ②相手先の会社情報をあらかじめ調べておく。
  • ③営業内容の説明は3~5分程度。一番重要な1つの案件に絞って説明する。
  • ④内部情報や最新情報などについて情報収集。ここが一番重要で、商談でしか話せない内容が含まれることが多いです。5分間程度は必要です。
  • ⑤自社の情報提供は、ポイントのみ紹介し、事後のフォローアップで提供する方向で進行してください。
という、上記の項目で30分間の商談が終了します。自社には売るべき技術などがあり、明確なビジネスビジョンがあり、商談企業と前向きにビジネスを考えているかを理解してもらえることが、商談会で成功する秘訣です。
商談場所に関して
幕張メッセ国際会議場内にある、TGS2015のビジネスミーティングエリアが基本となります。出展社の方々なら、アポイントメントシステム上で、無料で使える商談テーブルを予約することができます。ただし、数に限りがあるので、自由にいつでも使えるわけではありません。国際会議場内なら、2Fロビーや1Fロビーなどもありますが、やはり数に限りがあります。2チーム以上で商談を設定する場合、国際会議場外でのミーティングも必要になるでしょう。
TGS2015より、ビジネスデイ来場者が静かな環境で商談をするための専用スペース「プレミアムラウンジ」が新設されました。「プレミアムラウンジ・メンバーシップ」をご利用いただければ、出展社との商談だけではなく、来場者同士の商談も可能となります。「プレミアムラウンジ・メンバーシップ」にお申し込みいただいた来場者は、アポイントシステム「アジア・ビジネス・ゲートウェイ」から商談テーブルを予約することができます。

「プレミアムラウンジ・メンバーシップ」の申し込みはこちらから。

国際会議場以外の商談場所としては、下記のような場所があります。
  • ・TGS2015出展社の場合は各社ブース
  • ・TGS2015の飲食コーナー(11ホール)
  • ・幕張メッセ内のレストラン
  • ・幕張メッセ2Fコンコースにあるベンチ
  • ・幕張メッセ近くのホテルのカフェ、レストラン
などです。
実際に近隣ホテルにあるカフェを使って商談している企業も非常に多いです。また、ホテルの宴会場を商談場所に使っているプラットフォーマー、大手ゲーム会社もあります。ここで、気を付けないといけないのが、移動時間。思った以上に移動に時間がかかるので、商談時間の設定には気をつけましょう。特に重要な商談ならば、移動時間を含めて1時間程度を割いて、商談に臨む必要があります。
商談遅延などのトラブルシューティング
商談をたくさん設定すると発生するのが、遅延した場合のトラブルです。また、後から重要な企業との商談が決まり、リスケジュールが必要な場面は多々あります。そこで、あらかじめ不測の事態を想定した対策を施しておきましょう。
例えば、
  • ①重要企業との商談の場合、商談時間を1時間確保すると安全です。(前述のように幕張メッセ周辺ホテルでの商談を求められる場合があるため)
  • ②お互いの携帯電話番号、メールアドレスを事前に交換して、何かあればすぐに相談をする。
  • ③英語が苦手な場合は、ビジネスミーティングエリアに常駐しているTGSスタッフに相談して、商談時間の変更などを相談する。
  • ④常にTGS2015のアポイントメントシステムや、メールをチェックして、突然の状況変化をリアルタイムに把握するようにする。
  • ⑤もしリスケジュールで自分の空き時間が発生した場合は、ビジネスミーティングエリアのTGSスタッフに相談して、その時間で商談可能企業を探す。
などの対応が可能です。貴重な商談機会ですので、無駄なく商談を入れて、効率の良い結果が残せるように最善を尽くす必要があります。
TGS2015周辺で開催されるパーティー
TGS2015のビジネスデイ2日間、みっちりアポイントを入れても、その商談数には限界があります。そこで、TGS会期前後に開催される各種パーティーを有効に活用してみましょう。企業が主催するパーティー、個人が発起人となって開催するパーティーなどさまざまですが、積極的にアプローチすることで、商談できなかった企業とも巡り会うことができます。
パーティーのシチュエーションは、フランクな雰囲気で話すことができるので、意気投合すればビジネスも前に進みやすくなります。実際、そういう経験が非常に多いので、せっかくの機会を無駄にしないよう、より多くの企業と交流してください。